• 高温超伝導


    高温超伝導体とは、液体窒素温度(〜77[K])で超伝導現象が起こる物質のことである(これを高温と称するのは、他にも例えば液体ヘリウム温度程度までの冷却を要するものもあるためである)。液体窒素は安価で扱いが容易であるため、この高温超伝導体は工学的に非常に価値のある物質である。高温超伝導体は1980年代に発見された物質であるが、その超伝導発現機構は、現在でもまだ完全には解明されていない。
    尾崎研究室では、その物性研究を通じて、その発現機構や工学的な応用について研究している。

  • トンネル分光


    トンネル分光は状態密度を直接的に観測する方法の1つである。
    試料と電極で薄い絶縁層をはさんだ構造を作り、電流-電圧特性を測定し、そこから微分コンダクタンス(dI/dV)を求めると、状態密度を直接に反映したデータが得られる。
    尾崎研究室では、トンネル分光を用いて、 Si、熱電半導体、酸化物超伝導体などの電子状態(エネルギーギャップ、状態密度など)について研究している。

  • 熱電半導体


    熱電半導体とは熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することのできる物質である。これはクリーンな新しいエネルギー源が求められている現代において、廃熱として無駄に放出されている熱を有効に活用する手段として注目されている。また、逆の作用である電子冷却はフロンを使わない冷却技術としてすでに実用されている。
    尾崎研究室では、このような熱電半導体の基礎物性やその性能の向上について研究を行なっている。

  • 遷移金属ダイカルコゲナイド


    遷移金属ダイカルコゲナイドは、遷移金属をM、カルコゲン(S, Se, Te)をXとしたときにMX2という組成式で表せる化合物群である。これらの物質は、この2次元的結晶構造(層状構造)を反映して、電気的、磁気的および光学的に大きな異方性を有しているという特徴がある。またこの物質群には、金属(超伝導体も含む)、半導体、絶縁体などの各種の物質が含まれ、、電荷密度波(CDW)状態などいろいろな視点からの物性研究が可能である。
    尾崎研究室では、トンネル分光を用いて、この遷移金属ダイカルコゲナイドの電子状態について研究を行なっている。